『冬の夜』 言葉の展覧会984


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冷え冷えとした夜が襲ってきたので
私は炬燵でまるまって
ある島で土の中に埋まっている無数の骨たちを見る
あの愚かさはこの冬の夜につながっている
虚しさを吸いたくて煙草を燻らす
ギロチンが上げられ海が帰ってくる
吐いた煙が部屋にたちこめる
遠くで救急車の音
壁の隙間から侵入してくる冷気
至る所に愚かさがころがっている
つながらない言葉の中で
他者への恐怖に目をつむり
世界中の人々の意識の流れに逆らって
惨い外交戦略
それでも言葉は必要なのだろう
こんな寒い夜はもう寝るしかない