『アメノチユキ』 言葉の展覧会849
裏にこそ
失われたものが息づいている
時間も行き交う
生と死が交差して
雨になる
するとたちまち繋がる天と地
雨粒はにぶく光って
やがて雪に変わる
山の陰で
雪はやはらかにしめやかに
天に降る
手のひらにのせた生命の骨に降りかかる雪
凍る窓ガラス
内と外の淡い水墨画
時は幻を残してゆき過ぎる
内と外の臨界点をながめながら
しんみりと裏を味わう
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※『ユキノチクモリ』増田まさみ*句集(霧工房)
増田さん、贈本ありがとうございました。