「冬の心」 言葉の展覧会715
ぼくは未だケータイを持っていない
みんながみんなケータイでピコピコ ポコポコやっているときに言う
なに、ケータイだって そんなもの必要ないのだ
ぼくは未だケータイを持ちたいとは思わない
いまぼくが持ちたいのは冬の心である
そこでは地上辺り一面に霜がおり
深寒として冷え切った冬である
枝という枝からつららがぶら下がり
遠くに真っ白な雪の帽子をかぶった山がある
ぼくは寒さに身をさらしながら
ふるえながら 冬をじっくりと眺めていたい
寒いからこそ僅かな日光があたたかく心地よい
冬の心だからこそ見えるものがある
聴こえるものがある
裸木を
吹き渡る冷たい風
舞い散る枯れ葉
ぼくは聴く
裸木のうなる声
風の音
枯れ葉の舞い
そしてぼくは聴く
その沈黙を
無を
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