「ひとつぶの滴」言葉の展覧会383

ひとつぶの滴のために
宇宙があらわれ海が出現し
「私」が生まれた
大海を漂流する小さな小さな枝


いつもは穏やかな海も
ときどき悪夢の嵐に見舞われ荒れる
ちっぽけな「私」は籾砕かれ転覆し打ち拉がれ
もう死ぬのかと・・・


昨夜あれだけ大量に悪夢を呑み込んだのに
今朝滴をひとつぶ
ひとつぶからだにとりいれて
悪夢の残像を少しずつ薄めていった
水を得ることで
今日もなんとか生き延びる
こうしてどうにかこうにか数十年


かけがえのない
「私」の滴
またいつか
たったひとつぶにもどろう