「生まれてきてありがとう」言葉の展覧会300

aiueokaki2007-09-15

荒地の人は思案した
豊かになったのにこんなに不安が広がり
殺伐としているのはどうしてなんだろう
生きていてもしょうがない・・・


初めて来た余所からの訪問者は
ここがどうして荒地なのかがわからない
あらゆるものが備わっていてとてもきれだったから


でも荒地は中にあった
中が冷たく荒んでいたからだ
そんな中にあって大抵の人は平然と快楽をむさぼっていた
壊れるなら壊れよ
まだ先のことだから


荒地の人たちのなかの少数者は
絶望のなかにあっても一縷の希望を捨てず
楽天的だった


生まれてきて
生きている
ただそのことに
ありがとう


この世に命を授かったということは
すごいこと
いま存在する喜び いま在ることだけで幸せ


ある日 ムーンは
足を骨折し切断して
義足を着けることになった
荒地の子ども
転けてもけんめいに立ち上がり
どんな困難があっても
必死に生きようとしているムーン
この姿を見て荒地に住む少数者の一人は言った
この世に命を授かったということは
すごいこと
だからこそこの世にある命を
愛されなければなりません
草も木も鳥も魚も虫も人間も
だから
だから生まれてきてありがとう



う〜ん、ムーンの例を持ち出したか
納得のいかない人が何人かいた
生まれてきてありがとう
だって
 

荒地のひとは思案した
・・・・・