言葉の展覧会54

 
         刻印



ある晴れた日
この殻を破らなければと思った
空が回り光が揺れ
外に出るにはちと怖い
あるということは
よいことなのか
まるで太陽が
説明してくれるとでも思っていたかのように

ねばねばのものが底に潜んでいる
暗い森の中で
さ迷うあなたと彼と私と彼女が
飛び散って
青空にへばりつき か、た、か、た、笑っている
色々のピアスが揺れる
いるということは
も・ど・き
なれなかった空とぶ魚
空の彼方へ立ちのぼる青白い煙
私は透き通っている
何にもなれないし
何にでもなれる
だから死を確かめるのだ

そんなもので癒えるものか
だが癒えるべきなのか

私は聖なる刃物を振り回して
ごく普通に彼女の頭を砕き
平々凡々と彼の首をもぎとった
死への入れ墨なんだ
もっと悪くなることだ
世界は悪いから 人間は最悪だから
私の目を見てください
私という魔物の目を
私は死なない  私は生きない
私は私は私は私は私は私は私は・・・・・

スチール缶が笑っている
灰色に
ずらりと顔が並列して地平線まで
繰り返し繰り返し
腐った異様な世界で口は歪む
ただムナシイのみ

私は宇宙だ
闇の魔王
「こ」「の」「私」 というポエムワード
永遠に残るものは何か
「この私」を刻印せよ
残る残す残せ!
ああ何を
「この私」がはちきれんばかりに充満している

私A 他者R
私a 他者r
私X 他者Z
このうちでほんとうの私はどれか
この私、あの私、その私、どの私、
実は文学ゲームをしてるんだ
鏡よ鏡 し・ゅ・う・そ・く・せよ

それは夕暮れのことだった
攻撃目標は





※この詩は数年前、ある凶悪事件の犯人の心を推測してつくったものです。凶悪なものの内奥に、詩はどこまで食い込めるか。