言葉の展覧会48

うつつ
日々のこの生活のなかで
何かが変わってきている
社会の奥底に
何かが忍び寄ってきつつある
それは何か
何か


それはまだ見えない
不定型な心情
狂い
それは内なるテロの誘因
土壌


それは異様とも思える程の配慮
優しい関係の圧力
自己肯定感の脆弱さに苛まれた
対立の忌避と
いじめられる子ども自身の
内面の隠蔽


ああ ギスギスして
息苦しい!!
ああ 余裕がない
寛容な心の
余裕がない


それは異なる価値を切って捨てる
違った者どうしのつながりをきっぱり断とうとする
狭量な傲慢
役立たずは排除せよ!
少しでも害になるものは引っ込め!
邪魔者は去れ!
異物は駆除せよ!


それはハイクラスやミドルクラスには分からない
共有できない生活困窮
貧困の固定化!
格差!!
断絶!!


それはここ数年のこと
KからAへ


ああ美まし国
和の国はいまいづこ


うつつ
日々のこの生活のなかで
何かが変わってきている
社会の奥底に
何かが忍び寄ってきつつある
それは何か
何か


・・・
それは何か
何か





※「それは何か 何か」と問うていますが、もはやそれはお気付きのことと存じます。その元凶は、日常のいろんなところに見え隠れする「役に立つ主義」「成果だけ主義」「評価主義」つまり「構造改革」「競争原理」、そしてこれらの大元が米国起源のネオコン即ち「新自由主義」なのです。旧来の日本型保守・革新主義の対抗としても取り入れられたものでもあります。今、これを利用する政治家や学者・評論家、これに乗せられるマスコミや若者(特にネット右翼)、これに気付かず迎合している市民や国民が急増しているのです。日本列島を席捲し出した新自由主義、これが「それは何か」の正体なのです。甚だ断定的になりましたが・・・
※以上、神戸新聞の「論壇リポート」(2007.1.4)を読んでこの言葉の展覧会に出しました。