『ひな菊の人生』

昨朝は早く目覚めたので、吉本ばななの『ひな菊の人生』(幻冬舎文庫)を読んだ。奈良美智さんの絵とコラボレーションである。


私という箱に詰まっているもの。
母の死、友だちの死・・・、訪れる大切な人の死。
死と寄り添った夢と生。 涙の生。
ひ弱でかすかな生。林の中。草木の匂い。小さな生き物たち。そして木漏れ日。
降り注ぐ光の筋。
それゆえ哀しいまで愛おしい生。
「私という箱には、私が想像できる全部のものごとがつまっている。
誰に見せることもなく、誰にも話さなくても、私が死んでも、その箱があったことだけは残るだろう。宇宙の中にぽっかりと、その箱は浮かんでいて、ふたには『ひな菊の人生』と書いてあるだろう。」