創造する脳

月刊「美術手帖」5月号を買った。
特集は「創造する脳」。副題に「どうしてヒトは絵を描くのか?」とある。「なぜ、いま脳が注目されるのか〜時代は芸術の再編成を求めている」ということで、多摩美術大学の芸術人類学研究の所長や教授になった中沢新一は芸術の発生から人類の心の普遍性や創造力の謎に迫った見解を述べている。もう狭い意味での芸術(西洋が作り出した芸術、カルチャーとしての芸術)は終わりを告げている。その終わりと共に広い意味での芸術(人類の心に根ざした芸術、脳に関係し創造力を生み出す芸術)が浮上し、未来に開かれたものとしてあることを論じている。今「脳」ブームであるが、脳と芸術の緊密な関係を解明していくことはなかなか面白い。まだ中沢新一だけの文しか読んでいない。「美術手帖」もこれまでにない特集を組んだので、あまり読まずにペラペラとめくるだけに終わっていたが、今月号はじっくりと読んでみよう。
ついでに中沢新一の最新刊『芸術人類学』(みすず書房)を買った。少し高かった(¥2800)が読む価値はありそうだ。『チベットモーツアルト』以来、彼の著書は読んだことがなかったし、オームとの関係で少し失望していたが、これで復活したようだ。