めくれているスカートをなおす

aiueokaki2006-03-11

田舎で半日かかって片付け掃除(なんとゴミ袋が10できた!!)をし、ジャガイモの種芋(メークインと男爵、それぞれ3Kg)を買いに行った後、ゆっくりと読書をした。
のじもえさんに薦められた、伊坂幸太郎の『魔王』(講談社)である。


読み出したとき、どこかの政党に関わるプロパガンダの三文小説かな、あるいは政治をダシにしたSFものかな等と思いきや、読み進めるうちにそれが間違いであることに気付いた。さすが東北大出身らしく、宮沢賢治が持ち出されたりして詩的空間も広がって(宮沢賢治はプラスマイナスいろんなことに使われるが・・)、深みのある娯楽読み物としても楽しませてもらった。それにしても今の国民大衆が群衆化(衆愚化あるいはファシズム化)する恐ろしさを扱ったり、憲法を責任をもって自主的に選びなおすように問いかけたりしているところは近未来の日本列島住民の在り方や行方を考える上ではたいへんよく仕上げられている。こういう小説は、映画化してもっと若い人たち(いま、保守化?している。いや若い人たちだけでなく大人全般だって?)に考えてもらったらいいのでは、等とひたひたと忍び寄る不穏のなかでつくづく思う。「憲法改正」を云々するには、政治家連中はまず国民にいろんな角度からの憲法学習をすることを呼びかけなければならないと思う。安易で恣意的、強制的な改正は、日本列島の未来をこの「魔王」が少し垣間見せてくれた荒野に変えてしまうだろう。


未来はやはり青空を見上げる清々しさが断然いい。
ぼくはめくれているスカートをなおすことができるだろうか?