オタク文化

aiueokaki2005-05-27

 本屋に行くと、店頭に「電車男」という本が並んでいる。まだ読んでないので分からないが聞くところによると、オタク男性の恋愛における成功物語だそうだ。車中で30代の独身女性を助け、ほのかな愛を抱いたことをインターネットに載せてから、あれやこれや他からの書き込みの援助を受けて初めて3次元の恋愛を得るという実話の物語だそうである。この便乗本か批判本か、二次元愛を純化し賛美した「電波男」というオタク本も置いてあった。
 オタクというのが出てきたのが80年代後半だったとおもうが、今やオタクが文化をつくり育てる時代になってきた。マンガ、アニメ、フィギア、村上隆にみる現代美術、インターネット等々。秋葉原という街はオタクがつくった街でもあるし、マンガ・アニメなどは世界に認知された日本の誇るべき輸出品ともなっている。
 そんなオタク文化が浮上してきたのは高度情報化社会になって現実と非現実との交錯が日常化してきたことが背景としてあるのではないだろうか。フィクションがリアルに流れ込んだとも言える。デジタル科学の進展がそれを加速し、いまや「現実」の溶解現象は至る所で見られるようになった。
 本屋の陳列本を見ていると、自動車オタク、プロレスオタク、音楽オタク、・・・等いかにオタク文化が多様化し、専門化しているのかがよく分かる。こういう趣味領域でオタク文化が浸透するのはいいのだが、害を及ぼすものまで出現しているようだ。ここ数年、軍事オタクなんてのが出てきて、政界を牛耳り、この国の人々をきな臭い方向に動かそうとしている。物騒な世の中になったものだ。
 オタク文化の駄目なところは、内閉化(自己完結)してしまうことである。それぞれお互いに蛸壺に入ってしまって、自己充足し外界(外部)の出来事に全く無関心になってしまうことだ。他者が入ってくる余地が全くない。今のオタク政治屋さんたちも自分たちだけの蛸壺に入り込んでしまっている。外の見えない暗い壺の中で、やれ誇りを、やれ道徳教育を、やれ強い日本を、やれ靖国を等と声を張り上げている。外から煙たがられ、バカにされているのが見えないらしい。
 これからのオタク文化には自己チューから解き放たれる他者論が必要だ。




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※guldeenさんへ
コメントありがとうございます。今、読ませていただきました(デザインを変更したときにあなたのコメントがありました。もうかなり経っていますね)。
ちょっと誤解があるようです。
それは、ぼくはこの国を問題にして「オタク文化」なるものを少し書きました。他国である中国に関しては一切論じていません(当然、フランスやドイツやベトナムについてもです)。比較論ではないのです。どうして中国を出されてきたのかよく分かりません。蛸壺に落ち込んで自分をしっかり見つめることなく、他者に攻撃的になり、1元化思考しかできなくなりつつあるこの自分の住む日本列島の住民が心配で考えてみたのです。
「軍事オタク」は文脈を読まれたら分かると思うのですが政治家のことを言っています。単なる軍事ゲームを楽しんでいるオタクではありません。省略しているところを行間から読み取っていただきたかったのですが・・・。「軍事オタク」を「軍事オタクの政治屋さん」に変更します。それにしてもあなたは「中国」や「北朝鮮」がとても気になるみたいですね。マスコミや一部の方の煽りからですか。ぼくはそんな他国のことよりも、自分の国のことが折につけ気にかかります。

説明不足でどうもすみませんでした。
2006.1.29