『隠里』*No.2906

その昔
ここは隠れ里だったんだよ
へぇ、隠れ里か
何かのもめ事や政変があり
命からがら逃れて来て
見つからぬように
わからぬように
ここで共に身を沈め合ったんだ
ひっそりと
外からの侵入にピリピリとし
お互い信頼し合い
相互扶助のもとに生活していくしかなかったんだ
へぇ、それがこの里のもんは「閉鎖的」だと言われる所以か
でも、そんなことはみんなすっかり忘れ去り
現在は「閉鎖的」という言葉だけが脳裏にこびり付いている