『ざまくれ』*No.2886
人間やめんとこ
と言われた言葉は
未だに心の奥底にしまったままだ
岸本おじさんとの長年の付き合いから
かれの生き方はぼくの憧れの的
あの松葉杖だけで世界中のいろんな国を旅するなんて
震災後、あの歩けない立てない身体でネパールに学校を建てるなんて
辛く残酷な現実の中で、生きる望みを捨てず常に前を見て自分の道を歩くなんて
ただ
生きる糧として
詩を肌身離さず生涯携えて行くことはぼくにはできそうだ
だから岸本康弘さんは、ぼくの師匠
歩いて来たのは酷い道だが
また新たな道の創造でもある
ジメジメと薄暗いなかに
わずか一条の喜びの光を発見し
かすかな風のささやきに
さそわれて
また新たな旅に出よう
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夜の大阪「六条」。探し回って見つけた透き通ったガラス扉の向こうは灯りが眩しく、多くの人たちが賑わっている。ぼくはおそるおそる扉を開けた。
すると、傍にいた白髪の人が、「もう終わりましたよ」とぼくに告げた。
・・・(中断・つづく)・・・
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