『読書会より』*No.2633

aiueokaki2016-06-02

    〜ほしのみおさんからの便り 
          「ばおばぶの皆さま」〜
先日5月29日の読書会の報告(レイチェル・カーソンセンス・オブ・ワンダー」)
みなさんのご感想です。(このような趣旨ではなかったと感じられたらごめんなさい)


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・読み易かった。抵抗なく読める文章。原文で読むとさらに素晴らしいのでは、と思った。先ほど見ていた西谷の自然も素晴らしいと思った。
       

・西洋には自然を征服するという考え方もあるようだが、「センス・オブ・ワンダー」では、自然と共に生きることの素晴らしさを書いている。もともと、日本人は自然と共に生きていることが普通であったように感じる。そのような考え方をもっているということを、西洋の自然観を知ることにより、改めて認識したのではないかと感じた。
前回の課題図書のジャック・ロンドンの「火を熾す」で感じたような体感が無く、一方的な観念のように感じてしまったが、作者がそぎ落とした芯の部分だけを書いているためだろうか。書いてあることには納得する。


・30年前に「沈黙の春」を読んだことがある。そのころ、イタイイタイ病や、水俣病などの公害問題が起こっていたのがきっかけで読んだ記憶がある。便利さを追求して化学物質を作りだした人間が、使いながらそれがどのような影響がのちに起こるか考えずに使用していたことの怖さを感じた。人間は生物の種の中のひとつに過ぎない。たとえば日本では人間の都合でニホンオオカミを絶滅させたが、それが遠因でシカやイノシシなどが農作物に被害をもたらすという結果になっている。人間は他の生物とともに生きていくべき生き物であるのに。「センス・オブ・ワンダー」はまた、読んでみたい。


・先ほど出た一方的な観念のように感じる、という思いとは正反対の感じをもって読んだ。 それはこの自然豊かな西谷で週のほとんどを過ごすようになってからだろう。自然の中に長くいると、子どもの頃の体験が蘇ってくる。小鳥の声で目覚め、窓の外の自然の美しさ、草いきれを感じているうちに、いろいろなことが楽しくなってくる。何かも忘れて喜べるようになっている。自然の中で住むことで違う光景が見えてくる。今都会に住んでいる人は是非、この西谷のようなところで自然体験をしたり、交流したりしてほしい。そんな思いで今里山プロジェクトを行っている。今月山開きをしたばかり。ベニシアさんの庭のようなものも作ってみたい。


・4歳の甥と物語を進めているのがうまい。小さい頃にこのような体験を大人と一緒に身に着けることはとても大事だと思う。名前を覚えたりするのではなく、五感、六感のセンスを磨いていくことがこれから生きていく上で大事なことだと。変だ、おかしいと感じるのは「センス・オブ・ワンダー」が原点。今、子どもたちは五感を使って生きることから離れ、ゲームやスマホに時間を奪われ、人々が孤独になるように仕向けられている。人がどういう風に豊かに生きていくかを問うているこの本は、そういうことに対する警告にも受け取れる。そぎ落とした表現の中でこれだけは次世代に伝えたいということを書いている。自然の中で気を感じて生きていくことは何歳になってもできる。感性を開く努力を大人はしなくてはならない。「沈黙の春」は「センス・オブ・ワンダー」の感性があるからこそ書けた。「センス・オブ・ワンダー」は作者の最後のメッセージでもあり、最初からのメッセージであると感じる。


・夜中までに一気に読んだ。気に入ったいろいろな文章を挙げていくと全部になってしまうくらい。孫との生活を思い出しながら読んだ。孫の行っている幼稚園は子どもたちが自分で活動し五感を使って遊ぶ時間を大切にしている。その中で孫は豊かな感性を育んでいる。自分は病を得てから見方が変わってきた。明日も同じ体験ができるだろうか、と思うと、小さい虫、花、様々な生きものが健気に感じられ美しい感動を感じるようになった。西谷の自然の中にいると元気がもらえる。自然の中にいると長生きできると感じる。田舎に住まなくても自然と触れ合うだけでも充分元気がもらえる。この本は良かった。


・訳者の文章がきれいであり、表現力も素晴らしい。日本人の感覚で伝えている。言葉のひとつひとつの選び方に感動した。ジャック・ロンドンのような追体験するような感覚的な部分では伝わってこなかったが、ここに書いてあることは、特に50ページに書いてあることそのものだと思う。自分も自然の中で感動と恐怖(畏れ)を感じたことを思い出す。
戦争や、原発問題など孫の世代にどう影響していくかという危惧を感じる今、もう一度自然と向き合って生きること、子どもたちに伝えていくことを真剣に考えていかなくてはならないと思った。


・以前は抽象的でピンとこなかった部分もあったが、この歳になって読むと心が震え、じーんとする。レイチェル・カーソンの子供向けの伝記を読むと、科学者としてただ生きてきたのではなく、生計を立てるために仕事をしたりした経験ももっている。書くことが好きで相手にぴったりくる表現を求める推敲を重ねる書き方をする方なのだと知った。
大変な経験をしても、とても冷静で、「最も優しくもの静かな人」とあった。
沈黙の春」を書くために4年を費やし、それまでに数多くの方と書簡を交わしてたくさんの知識を集め、自分(レイチェル・カーソン)しか書けない本であることに気づいたとあった。
自分が若いころ病気で入院し、退院した時、何もかもに感動し、見るものすべてが輝いて見えた。自分なりの「センス・オブ・ワンダー」を感じていた。

     
*人間が種を絶滅することがあっていいのか、日本人の自然観にも話が及びました。

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貴重なお話しがたくさんうかがえたことに感謝いたします。     
                      ほしのみお