『霧の春山』*No.2577

時雨の朝
なにもかも霧につつまれています


眠っていた山が大きな欠伸をして
目覚めました


霧の合い間から木々が
  ポッ
ポッと
春の吐息をしています
そしてあちらにもこちらにも
 ポッ
ポッと
白や
うす桃や
うす黄緑になって
よろこびを伝えています


山は寝ぼけまなこでおどろきました
まだまぼろしです


ここは桃源郷の入口
ぼくはまといつく春をかきわけ
突っ走りました