『ここ数年の本から読み解く未来と里山』*No.2560


         ここ数年の本から読み解く未来と里山




 『里山資本主義』(藻谷浩介+NHK広島取材班)という本が2013年以降大ベストセラーになりました。「これが日本の解決策!!」という帯で、表紙に次の文が飾られています。「課題先進国を救うモデル。その最先端は”里山”にあった」。「かつて人間が手に入れてきた休眠資産を再利用することで、原価0円からの経済再生、コミュニティー復活を果たす現象。安全保障と地域経済の自立をもたらし、不安・不満・不信のスパイラルを超える」。なんと明るく素晴らしい言葉が躍っているのでしょう。
 そして次の年2014年に、「東京一極集中が招く人口急減」「八九六の市町村が消える前に何をすべきか」という衝撃の増田レポートの本『地方消滅』(増田寛也編著)が出されました。帯に曰く。「このままでは八九六の自治体が消滅しかねないーー。減少を続ける若年女性人口の予測から導き出された衝撃のデータである。若者が子育て環境の悪い東京圏へ移動し続けた結果、日本は人口減少社会に突入した。多くの地方では、すでに高齢者すら減り始め、大都市では高齢者が激増してゆく。豊富なデータをもとに日本の未来図を描き出し、地方に人々がとどまり、希望どおりに子どもを持てる社会へ変わるための戦略を考える」。近い将来を予告したような本であります。
 その後、数々の関連する本がラッシュアワーのように出されました。昨年2015年だけでも、『地方に希望あり』(大江正章)〜ローカルは未来だ。本当の豊かさへー増田レポートは乗り越えられる。『地方消滅 創生戦略篇』(増田寛也・富山和彦)〜ローカルが日本を変える! 地方消滅論争に最終決着。『里山産業論』(金丸弘美)〜世界の田舎が、”産業”を興している。「食の戦略」が次代の人材を育て、経済を回し、地域を創っている!!!社会を変える最重要産業ー食の戦略が六次産業を超える」。そして『ローカル志向の時代』(松永桂子)〜時代は変わる。意識も変わる。いま、地域が面白いのはなぜか。社会・経済を示唆する「小さな変化」を読む〜へと続きます。またこんな面白い本も出ました。『ふるさとを元気にする仕事』(山崎亮)〜ふるさとの担い手に贈る”再生のヒント”ー「ふるさと」には未来を拓くカギがある。日本のふるさとには世界が求める答えがある、と言ったら大げさでしょうか?・・・世界に提示できる答えをすでに導き出しつつあるふるさとが、日本にはいくつもあるからです。・・・日本の全国各地のふるさとは、人口減少時代の最前線なのです。そしてそこにある可能性を探り当て、豊かな未来を創造していく”楽しみ”を自分自身の”生き方”に重ねることができるのは、この本に興味を抱いたような若い人たちに他ならないのです。−−
 いったい何が言いたいの? ここ3年ばかしのラッシュ本を紹介しましたが、こう思われたことでしょう。里山(ローカル、田舎、ふるさと)にはこれからの日本(明るい未来)がある。言いたいことは(前置きを長くしたのも)、これなのです。






(以下、略〜『にしたによいしょ』4月号に収録〜)