『ソーラーの里へ』*No.2538

西谷エネルギーブランド
*ソーラーシェアリング*


新しい時代を産む


 やはり時代は地道にコツコ
ツと自分たちの手でつくり、
変えてゆくものではないでしょ
うか。華々しく勇ましい枝葉
節や幹の先端の部分じゃなく
その根っこの部分で、静かで
地に足の着いた実に楽しい革
命が起きているように感じら
れます。今、それが始まった
ばかりで、試行錯誤の段階な
のでしょう。未だ数々の失敗
を通るかもしれませんが。あ
産業革命も最近の情報革命
も、これからのサイボーグ・
ロボット革命もおそらく紆余
曲折の道を歩んで浸透してゆ
くのだとおもいます。
 ではエネルギーの革命です。
いまなお海外から輸入した石
油、そして原発(三・一一よ
り、五年目になる今、福島は
未だに暗礁に乗り上げたまま)
等に依存していたエネルギー
もようやく脱して、また別の
道を見つけ、地に足が着いて
自分の足でよちよち歩きはじ
めたようです。そのひとつに
太陽の恵みをいただいたソー
ラー発電があります。


大地の恵みと
 太陽の恵みのコラボ


 いま未来のエネルギーが模
索されています。地中に眠る
資源(石油等)はやがて枯渇
してしまいます。原発はこれ
から生きていく人たちのこと
(恐ろしい危険性)をおもえば、
あまりにも自分勝手過ぎます。
そこで最近発見されたのが、
自然を上手く利用し、自然の
なかで人間が共生をはかった
再生可能エネルギーなのです。
風や水、地熱等は以前からあ
り今日また再発見されつつあ
りますが、太陽光発電は新し
いものです(他に、バイオマ
ス発電等がありますが)。そ
の太陽光による発電と農作物
づくりのコラボレーション、
もっと親しみやすい別の言葉
で言えば、「大地の恵みと太
陽の恵みのコラボ」ですが、
それを宝塚北部のこの西谷で
始めた出した人がいるのです。
先駆者は古家義高さんと西田
均さんです。二人は、未来の
農とエネルギーを合わせたも
のに手がかりを見つけたので
す。

未来への「農」


 ここで、ソーラーエネルギ
ーとコラボによる西谷の未来
の「農」をお二人の言葉を通
して考えてみたいと思います。
最先端の発電設備と自然環境
に近い田畑との共存でもある
ソーラーシェアリングは、営
農型太陽光発電とも呼ばれて
います。二〇一三年に農林水
産省が認可し、全国でも四〇
〇件を超えています(兵庫県
では一五件)。その内の三件
が西谷に建てられているので
す。
 地球温暖化の影響をじわじわ受
けて葉物野菜や果実が日焼けし品
質の低下を招き、米の高温障害も
広がりつつある昨今、それらを解
消することができるソーラーシェ
アリングは、
?これから増えて行く耕作放棄
(十年後にはもっとひどいことに
なる)の問題解決の一助になりま
す。西田均さんは言う。「条件の良
い田んぼまで雑草だらけの放棄田
になる前に、こういう技術ができ
ていることを早く地域の人に知ら
せたいと思った」
 また、?太陽光発電による売電
収入により、安定した営農を続け
ることができ、担い手不足を解消
する手がかりにもなるでしょう。
そして?新規営農者を生み出す流
れをつくれるかもしれません。古
家義高さんは話す。「農家の
高齢化や後継者不足に悩む西谷
のような山間の地域が、農地を
守りながら若い就農者を受け入
れ、支援できるようになる」。
そして、「農業経営が安定する
上、農作物とともに家庭一四軒
分の電力の地産地消も進められ
る」。力強い言葉だ。
 ソーラーシェアリングを導入
した農家からは、影の効用によっ
てニンジンやカブなどはよく育
ち柔らかい良質の収穫があり、
ほどほどの光でインゲンなど豆類は
増収しているという。
 お二人の動きを支援してきたのは
「宝塚すみれ発電」です。西田光彦
取締役は、「地域、大学と連携して、
自然エネルギーとともに育てた西谷
の農産物のブランド化も進めたい」
と話し、太陽熱など自然エネルギー
のメリットを体験できるイベントや
「エネルギーカフェ」も計画し、西
谷における新たな魅力づくりの後押
しをしたい、と意欲を燃やされいる。
「西谷のここに足を運ぶ市民を増やし
生産者との交流を通して新規就農者
も生み出す流れをつくりたい」とも。
 西田均さんも古家義高さんも、心
強い協力者を得て、笑顔を満面にた
たえている。「西部さなぶり」、「西谷
ジャズコンサート」、それに西谷にお
ける音楽の集い・・・等いろんな催
しが自然との共生からつくり出され
るエネルギー革命が、ソーラーシェ
アリングのある西谷各地で展開され
そうです。楽しくなるなあ!