『いま、いなかが新しい!!』*No.2470

aiueokaki2015-12-15


   時代は変わった
     いなか志向の時代へ


 ここ一、二年の世の中の動向
を見ていますと、時代は大きく
変わったようにおもいます。
 都市からいなか(農山村)へ
移住希望者が増加しているので
す。「失われた二〇年」のトンネ
ルを抜けると、そこには素敵な
世界が広がっていた、という感
じです。グローバル化、ネット
社会の浸透により、若者たちが
気付き始めたのです。お金や効
率だけではない、都会の企業で
駒のようにあくせく働かされる
よりも、自分の立ち位置を確認
しながらより自由にのんびりと
暮らしたい、そんな内面の変化
が見られます。それは価値観の
変化になり、田舎へ駆り立てる
ものが芽生えてきたのでしょう。
あの三・一一東日本大震災が教
えてくれたのかもしれません。
これは「規模の経済」から「価
値の経済」への転換であり、経
済的価値を創出するだけでなく
社会的価値を創り出そうとする
動きです。成熟社会に入って、
人口減少社会での新たな芽であ
るともいえます。三・一一以降
若い感性は、コミュニティやつ
ながり、そんな失いつつあるも
のを取り戻そうとしているよう
です。
 働くことの価値観が大きく変
わりつつある兆しがやっと見え
てきたのです。このことは、右
肩上がりの時代も終止符を打ち、
会社の活動(生き伸びる)年数
が短くなり、「非正規」が増えて
会社が永久就職所だという固執
する意識が薄れて来たこともそ
の原因のひとつにあげられるで
しょう。「ゆるやかさ」や「遊
び心」すら取り入れられ、自分
の柔軟なスタイルで働ける面白
さや気軽さをいなか(農山村)
に見出したのにちがいありませ
ん。とにかく「消費」「モノ」
の豊かさから「つながり」「経
験」「心」の豊かさを若い人た
ちは求め出したのです。これが
いなか(地域)志向の現在です。



  若者達は田舎を目指す



 いなか(農山村地域)に定住
願望二〇代(男性)はこの一〇
年をみてみますと、二〇ポイン
ト程高くなって、四七,四%に
なりました。例えば、中国山地
の過疎地へ若者が移住し、人口
社会増の実態が生まれているそ
うです。この現象は一昨年(二
〇一四年)の夏頃から出てきた
もので、「田園回帰」という潮
流の芽生えなのです。カフェや
雑貨屋、食の店、ネットビジネ
ス、そして「農」・・・・いわ
ゆる『半農半X』という働き方
(生き方)です。働くことが「お
金」をもらう(評価する)こと
だけでなく「楽しくなる」生き
甲斐のある生き方を求め出した
のです。
 ただその潮流を可能にするか
しないかは、地域の住民やコミュ
ニティが受け入れる体制をつく
れる(気がある)のかどうかな
のです。(それは行政がいくら
努力してもダメだそうです)。


今、いなかが新しい


 以上のような新しい時代がつ
くられる芽生えを、鋭い感性で
捉えなければならないでしょう。
従来通りの価値観や見方では置
いてけぼりをくらって老朽化し
てしまうにちがいありません。
この成熟社会においては、もう
右肩上がりの経済成長神話(お
金信仰)は終わったのです。そ
のことに気付かなければなりま
せん。いささか社説のようになっ
てしまいましたがこのことだけ
は伝えておきたかったので読み
辛い言葉を並べたことをお許し
ください。
 さてさて、ローカル志向の時
代への突入ですが、その礼賛を
してみたいと思います。


 いなかはカッコイイ

 
 成熟社会では人々の価値観そ
のものが多様化してきます。そ
こから出てきたのが豊かなライ
フスタイルなのです。つまり会
社(組織)人間といった一律な
価値観から脱した生き方です。
個性あふれるライフスタイルや
魅力的な観光スタイルを世界へ
発信する時代へかわりつつある
今、いなか(農山村)はその時
代にぴったり合った場所なので
す。最新科学が進展し、ネット
が席捲している中で都会に住ん
であくせく企業等に勤めるとい
うスタイルはすでに賞味期限切
れのような悲惨な兆候があちこ
ちに現れています。ブラック企
業、非正規の増、鬱病、自殺大
国、格差拡大、・・・・・等々。
 働くことにおいて、都市部で
なければならないという必然性
が無くなりつつある現在、いな
かはこれからどんどん面白くな
るでしょう。


 いなかは面白い!

 
 いなかには、お金よりもつな
がりやコミュニティを大事にす
るところがあります。学生時代
の同好会のようなたまり場での
語らいのなかで、ゆるやかな場
や関係性を築いていけるのです。
困ったときには助け合う相互扶
助的なものも残っています。又
どんな人も受け入れる土壌があ
り、ゆるく身の丈に再生してい
くことが可能です。そんな関係
やコミュニティをつくっていけ
る面白さは都会以上のものがあ
ります。面白いだけでなく生き
甲斐も感じるでしょう。とにか
く人口は減っても、
楽しく暮らせるいなかなの
です。
 そのためには、いなか(農山
村)を元気老人が活躍できる場
にし、若い胎動でもっとフレッ
シュにしなければならないでしょ
う。いなかをフレッシュに元気
にする主体は元気老人であり、
多くの実践者や論者が言うよう
に「若者、バカ者、よそ者」で
あるにちがいありません。
 これがローカル志向の時代に
おける課題であるとおもいます。
 そしてキーワードの二つは、
「今、いなかが新しい!」。そし
て「いなかは面白い!」です。

る面白さは都会以上のものがあ
ります。面白いだけでなく生き
甲斐も感じるでしょう。とにか
く人口は減っても、
楽しく暮らせるいなかなの
です。
 そのためには、いなか(農山
村)を元気老人が活躍できる場
にし、若い胎動でもっとフレッ
シュにしなければならないでしょ
う。いなかをフレッシュに元気
にする主体は元気老人であり、
多くの実践者や論者が言うよう
に「若者、バカ者、よそ者」で
あるにちがいありません。
 これがローカル志向の時代に
おける課題であるとおもいます。
 そしてキーワードの二つは、
「今、いなかが新しい!」。そし
て「いなかは面白い!」です。


来たれ、宝塚北部西谷へ


 いまこの宝塚で起きているこ
とは全国の都市と同じように高
齢者、なかでも八〇歳以上が激
増していく(この二〇数年の間
に)ことだそうです。その中で
「介護はやってくれない」「病院
ピンチ!」等という問題がどん
どん出てくるでしょう。そんな
深刻な問題の対処法と言えばい
いのか、もう絶対に経済成長し
ない将来のその処方箋は、「病気
にならずに元気に生きようぜ!」
つまり健康で元気に歳をとって
生きよう、ということだそうで
す。(『里山資本主義』の藻谷浩介
さんの一一月二八日宝塚西公民館
での講演より)
 今後、この日本列島において
住民が付きつけられている課題
は、「日本を元気に高齢化する」
ことだそうです。日本では世界
に先駆けて高齢化の増加が止ま
ります。その後、東アジアでは
高齢化は続きます。そこで、日
本は世界にいいお手本「元気に
高齢化できる」見本を示さなけ
ればならないでしょう。
 元気に歳をとる、ということ
にするには、楽しく歳をとるこ
とに繋がります。では、高齢化
人口減少社会で楽しく元気に歳
をとるにはどうすればいいか。
まずこの宝塚では、「宝塚は丹波
化計画が必要」と藻谷さんは言
うのです。人口が減っても高齢
化になっても、「消滅」すること
なく丹波の住民は自然と共存し

ながら楽しく暮らしています。
さてここで思ったことは、何
も「丹波」でなくても「西谷」
でも同じことではないか、と
いうことです。藻谷さんは西
谷のことを知らないから「丹
波計画」と言ったのでしょう。
おそらく。宝塚は高齢化人口
減少社会において、楽しく元
気に歳をとる方策を示さなけ
ればなりません。そこには、
「西谷計画」が本領を発揮する
ことでしょう。
 西谷ビジョンという地域政
策では、そのセンスの高さが
光らなければならないでしょ
う。

 まず人材です。おそらく一
も二も人材であるでしょう。
ただビジョンを書いた文書冊
子だけでは、絵に描いた餅に
しかなりません。またお金や
箱モノでもないでしょう。や
はり、ひとです。人材とは、
どれだけの志を持った実践者
がいるか、ということです。
この西谷において、来年春に
できる「宝塚SA」(仮称)
やSIC(これができれば流
れが確実に変わります)その
他諸々の箱モノづくりと合わ
せて、「食」や「農」を売り、
自然あふれる人情豊かな西谷
の魅力を引き出し、それらを
運用し世界に発信できるアイ
デアと実践者が緊急に必要で
しょう。
 次に、それらを受け入れる
開かれた地盤や環境をつくる
ことです。そして志あるひと
たちを始めいろんなひとたち
が自由に集まってつながれる、
つながり合える場がいるでしょ
う。そのつながりは、「いいあ
んばい」の「ゆるい」つなが
り(たとえば、何かあったと
きに役に立ち合える)であっ
ていいと思います。
 西谷は人口減少の最前線。
そこで、「愉しみ」や「元気」
を自分自身の生き方に重ねて
いこうではありませんか。全
国、いや世界のなかで人口の
減少を先駆けたこの地で、世
界に呈示できる答えを探して
いこうではありませんか。