『叔父』*No.2152

そこには
骨と皮だけになった叔父が
ベッドに横たわっていた
大阪と京都の境にある病院
癌がリンパにまで達しているそうだ
よわい82歳の叔父
目はほとんど開かず
見舞いに来たぼくに息絶え絶えに話しかけるが
ぼくには言っている言葉がほとんど解せない


70歳になって税理士を辞め
好きだった絵を描き出し
全国あちこちへ行って
2百近くの風景画を油絵やアクリル画で描いた
叔父
去年ふるさとのギャラリーで
叔父の個展をやってあげたとき
ぼくらは叔父や叔母を交えて
いとこ会をやった
「また来年も個展をしよう」と言うと
叔父は少しだけ笑顔を見せた


1時間以上もいて
叔父はぐったりしだしたので
ぼくは御いとまをすることにした


帰りに叔母が出てきて
「医者から今日か明日までしか持たないと言われている」
とぼくに告げた