『春のメルヘン』言葉の展覧会1782

aiueokaki2014-04-01

春の夜は 闇の遠い向こうに
緑いっぱいの野原があって
それに陽は静かにきらきらと
きらきらと射しているいるのでありました



陽といっても まるで銀紙や金紙のようで
それらをくしゃくしゃにした乱反射の錯綜のようで
さればこそ、きらきらと
あれよこれよ艶めかしく輝いているのででした



さて草花の上に、今しも蝶や天道虫やらが止まり
なにやら蠢いて ゆらゆらゆれ
喜びのあまりあちこちで悲鳴をあげているのでありました



やがて蝶や天道虫やらが見えなくなると、いつのまにか
今迄 おだやかだった野原に、草花たちは
きらきら きらきらといっそうの輝きを増しているのでありました・・・・・




中原中也「一つのメルヘン」を変奏して