『葉桜』言葉の展覧会1605

もうすでに散っていたとおもっていたのに
まだ桜の花が残っていた



生きるのももういいという諦念と
まだ生きようとする力が
互いにあらそっている
ベッドの上の86歳の顔
「致命的です。身内をあつめてください」
と主治医に言われた言葉が離れず
私たち身内は後者に応援し
声を掛け手や足をさする



もうすでに散っていたとおもっていたのに
まだ桜の花が残っていた
出てきた若葉とともに