『可能性のゆらぎ』言葉の展覧会1323

aiueokaki2012-06-01


水玉をビーズにして
飾っている
蜘蛛




ほんとうはみんな同じじゃなかった
ばらばらだった
あの日よりもっと以前から
もっともっと以前から



爆発によってばらばらに
ばらまかれた生成の種
ちいさなちいさな宇宙のもと



ヒトは
つねに何かの間にいる
草のように



正体不明の物質
あの銀河の渦巻く向こうに
大いなる謎
なぜ存在するのか



この更地の至る所に草が生え
線を引き、間をつくる
孤独の底から
出会いのために



何かぼくたちはこれらの観方に
根本的な見落としをしているのじゃないのか



欲望よ
こんなにとるにたらない欲望なんだから
あっちの道よりもこっちの道をとれ
そして飛び散ることだ



ある男は夜中に野原の草を盗んだ
またある女は月を盗む



この宇宙でない
また別の宇宙があるのさ
いっぱいあるよ星の数以上に



不器用にしか生きられないんだよ
それって素敵なことじゃないか



ヒトなんてこの星で偉そうにしているけど
まだ害虫だ まだまだのくせに



暗闇の荒野の中で
かすかに生成を繰り返している



今日も砂漠にたった一人生成した少女が立っている
少女よ
砂と風と月と戯れ
ひとつの宇宙を孕め



問いから抜け出したものの
また問いへ舞い戻ってきた



花はたえずゆらいでいる
爽やかな可能性を秘めて



自分のなかの他者が
吃りながら語りかける



これまでの観方は根底から覆されるかもしれない
さっき
可能性のゆらぎと出会ったところだ