『交差点』 言葉の展覧会1196
きみはやってきた 軽やかに
片手にハート模様の紙バッグをぶらさげて
交差点の片隅 傷ついたぼくの前で 立ち止まり
満面の笑顔で見つめる
くじけちゃだめだよ
まるでそう言ったかのようにぼくを見つめた
何百何千人が往来する中で
パッと きみだけが光っていた
しばらくしてからぼくが元気をとりもどすと
かけがえのないもの
とりかえしのつかないものを残して
きみは人ごみに消えていった
愛らしく
ポッと灯って
ポッと消えた
一瞬の
恋
あれからぼくはきみによく出会った
きみは微笑み
ぼくに語りかける
大丈夫! 元気を出しなよ
悲しいならしばらく悲しんでいようよ
出会いは新たな始まりとなり
すっかりぼくはきみのとりこ
奥に秘めた清純さ
ひとりよがりのぼくの恋だけど
だいじな大事な何か
いつまでも
あれから何年も経ったけれど
いまなお心の交差点で
永遠の恋人のきみが
微笑みかける
・「もうひとつのMARGA その3」