『福島の詩人』 言葉の展覧会1083

詩人は修羅場に踏みとどまり
暗い部屋に独り籠もって
余震に目覚め余震に怯えながら
言葉の前に座っている
「あなたの言葉になりたい」
詩は瓦礫の上を
放射能の雨の中を
呟き怒り祈り囀り悼み
礫となって飛び交う
捨てられない故郷・福島
捨てられない詩
しかし「一行目を書こうとすると風が吹く」
心に冷たい汗をかきながら
何億もの馬の蹄の音を聴き
何億もの鳥の影を見る
書き殴る詩
「僕には詩を書くしか無いのです」
在ったものがほとんど無くなった更地の中で
たったひとつ詩があった
詩で繋がる
いのちが

※送られてきた「現代詩手帖」5月号に載せられていた福島の詩人・和合亮一さんの『詩の礫2011.3.16-4.9』(全44p)を一気に読みました。東日本大震災後(被災六日目から)ツィッターで詩を礫のように書き殴った記録です。臨場感があって、突きつけられて、涙ぐむ・・・