『鳥は鳴いている』 言葉の展覧会934

aiueokaki2010-10-27

えりやポケットをピンと伸ばす手が少し冷たくなった
灰色雲がかぶさっていて昨日の木枯らしの残りが吹いている
遠くで工事の音 ときどき近所の人の声
それが止むと一際鳥の声
こうしてベランダに立って洗濯物を干していると
あちこちから鳥の声が降ってくる

空で山で屋根でいろんな所で ひたすら鳥は鳴いている
よく聴くといろんな鳴き声だ
部屋に入って新聞をめくる
円高を克服する・・・ため込まなければ道は開く
長年の人間関係がものを言い 名刺がいらない関係が大切
と「日中のパイプ」を説く活字
相変わらず鳥は鳴いている
鳥はただ鳴いている
鳴き声に上手いも下手ものろいも速いも
勝ちも負けも強いも弱いもバカもエライもあるもんか
ただ鳴くだけ
生きて鳴いている
生きていくことに大事なものなんて一つもなくて
みんな大事なんだ
鳥は鳴いている
ぼくは窓を開ける
青空が見えて陽がさしてきた
家中みんなの窓を開ける



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