「物語は世界の共通言語」 言葉の展覧会510

aiueokaki2008-04-13

その世界に入って
一段一段
また一段
魂の階段を降りていくと
だんだん光が乏しくなって
薄暗がりから
闇へ突入する
そこは真っ暗な世界
善も悪もなく
真と偽もない
美も醜も混じり合ってしまって
生と死も確かだ
暗黒の混沌
人間はたとえそれがどんな国に所属しようと
みんな同じ世界


そこに
ただ得体の知れないものが
蜷局を巻き
微かに蠢いている


ざわめく闇




※今日田舎で、神戸新聞に載っていた村上春樹のインタビュー「物語の力」を読んだ。久しぶりの春樹節。今、長い長い小説を書いているそうだ。おっ、やってるな、未だ健在だな、という感じ。「毎日5,6時間も机に向かい、もう1年2ヶ月ぐらい、ずっと書いている」そうだ。インタビューを読み進めるに連れて、先日載せた言葉の展覧会(2008-03-30 「善悪人」言葉の展覧会496)と同じことを言っているなと感じた。「これは日本人の怖さみたいなものを物語っている話(シンガポールリー・クアンユー元首相の話)だと思うんですよ。良心的で懸命に街をきれいにする日本人が、ある日、突然、残虐行為を働く人間になってしまう可能性も示している。きっとどの国民にもあるのでしょうが、日本人は特にそういう面が強いのじゃないかという気がしてしょうがないのです」と村上春樹は言う。そしてこんなことも話している。「戦争中、上官から捕虜を殺せと言われたら、ノーとは言えないわけですよね。日本人は戦争でそういうことをやってきた。そのことに対する日本人の本当の自省の念というのは、まだ出てきていないと思うんです」。自省もせず乗り換える団塊の世代もまた、典型的な日本人なのだ。団塊の世代の責任は重い。村上春樹とぼくは同じ歳で、団塊の世代だ。