「死ぬまで自分さがし」言葉の展覧会449

それは何の役に立つのですか
オレの小さなものさしで
懸命に世界を測ろうとしている
等価交換するオレ様


幼いときに
消費主体として
自己完結してしまったために
市場原理が身体化し
時間は無くなり
ひたすらオレ様は学びから逃走する


子どものときに未来を売り払ってしまったので
転々と
オレ様は自分らしさを出して
いつまでもいつまでも
規格化された自分さがし
死ぬまで



内田樹の『下流志向』(講談社)はなかなかつかみ所がよく面白かった。もうすでに破綻をきたしているアメリカの経済モデルを未だに執着して採用している日本のバカさと、そのために貧相で悲惨な国民(子供、若者、親など)がつくりだされている現状が体験的に書かれている。ニートを冷静に分析し批判しながらあたたかい手を差し伸べているところが、雪解けを試みる内田樹のやさしさなんだろうな。これから日本の住民が歩んでいく道筋を示したのもいい。この市場原理の貫徹する殺伐とした家族や学校や社会で、さぁ、学ぶことの意味を回復していく作業をしていかなければと、背中をポンと押されたような本であった。