「ななふし」 言葉の展覧会406

枝のからだをして
玄関わきの白い塀の隅っこに
ななふしが佇んでいた
黄緑色が枯れ枝色になっている
間近に見ていても動かない
年末の街は今年あったコトをすべて忘れ去ったかのように
静かだ
冬の寒さが身にしみこむ
ぼくはちぢこまりながら枯れ葉をかき集める
合間にななふしを伺う
山の麓に家を建てたので落ち葉でいっぱいだ
ななふしは微動だにしない
ぼくのしてきたことといったら
齟齬を持ち続けてきたことだけ


ではちょっと、ななふしに訊いてみようか
  むらはどのようにでき
      どのようにして滅ぶのか
  くにはどのようにでき
      どのようにして滅ぶのか