言葉の展覧会106

急な坂の後なので
あの館へ向かうあなたの影だけが目に入っていて
もうすぐ逢えるとばかりに
ひとっ飛びに小川を超えた
遠くの山にかかる霧がおだやかで
わたしは枯れ木の下で
胸をときめかせている
そんなとき道が二つに分かれている辺りで
あなたを見失ってしまった
どちらを選んでいいのやら途方に暮れていると
なんと後ろの灌木の中から
笑い声がするではないか
振り向くとそこには
叶わぬ夢がいた