総選挙後をみすえて!!

aiueokaki2005-09-10

         だれを選ぶのか?!
いよいよ明日投票。2項対立非難合戦を超えて


保守主義(農村型保守)から新自由主義(都市型保守)へ。今の総選挙は日本の政治の過渡期にある分岐点であるが、その過渡期が狭量なナショナリズムをさらに醸成し浸透させ、ファシズムが肥大化してたいへん恐い場合もある。取り返しがつかなくなってしまうかもしれない。
 非難合戦を超えて、感情に流されず、冷静沈着なマクロ的な視点で社会を見つめる必要がある。おそらく新自由主義(都市型保守)は近い将来、行き詰まるであろう(もう破綻をあちこちにみせているが・・)。そして民度があがり、マスコミがジャーナリズム精神を取り戻したときは政局はこう進むだろう。新自由主義(都市型保守)から都市型リベラル・社民主義へ。

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      衆議院総選挙後、政界の見取り図(政治理念)
         〜キーワード〜 宮台真司さんの分析を元に http://www.miyadai.com/

●「旧保守=農村型保守」〜郵政民営化法反対派自民党国民新党(旧経世会、清和会)
++旧日本型++

・ 亀井氏や綿貫氏の支持層は旧保守。旧保守は集権的再配分を目指すので左派的です。再配分を望む地方の弱者が、旧社会党じゃなく自民党を頼るのは自然。だから自民党政治が永続し、小選挙区制でも二大政党が実現しなかったのです。それが小泉氏で変わった。 (宮台真司
・いまや消滅(させられる)寸前。

●「新保守=新自由主義=都市型保守」〜小泉自民党
++アメリカ型++    市場主義イデオロギー・「小さな政府」(※民主党も同じイデオロギー)
                         

・ 外的事情として、今日的ポピュリズムと、米国の意思が重なる。まず石原慎太郎人気や9・11以降の米国世論動向と同種のポピュリズムがあります。国民の不安を煽り、鎮められるのは俺だけだと男気を示す、という伝統的戦略です。 (宮台真司
イラク自衛隊派遣から郵政改革まで、一貫した米国一辺倒。340兆円の「国民の虎の子」を狙う米国金融界は郵政民営化を望み、米国政府の年次改革要望書の筆頭項目です。 (宮台真司
・小泉支持は、旧保守でなく、新保守=都市型保守です。背景にあるのが九〇年代を通じた旧保守から新保守への地殻変動。「新しい歴史教科書をつくる会」「2ちゃん右翼」が象徴的です。過剰流動性と生活世界空洞化で不安になって「断固」「決然」の言葉に煽られる「ヘタレ保守」です。 (宮台真司

見田宗介氏が八月一六日の『朝日新聞』で、日本は経済水準が高いのに「とても幸福だ」と答える人が極端に少ないと語ります。アマルティア・センの言葉だとケイパビリティが低い。すなわち多様な仕事、多様な趣味、多様な家族、多様な性を、自由に選べそうで、実は選べない。制度的に選べないのに加え、主体の能力が低いので選べない。鬱屈と嫉妬が拡がるばかりです。 そうした国民は、「決然」「断固」に象徴される小泉的振舞いからカタルシスを得ます。現に都市部の若者は「気持ちいい」と口々に語る。それが新保守の感情です。この感情は二〇〇一年参院選で明白でした。高祖議員の得票が典型で、自民党の団体的動員の時代は終わります。 (宮台真司
☆勝ち組、負け組とひとにぎりのエリート支配。 ・自殺の増大、うつ病の増加、凶悪事件の多発。 ・雇用不安、年金不安、閉塞感・・・・・。コップの中の尊厳と威勢、「靖国固執と韓国、中国からの不信、亀裂、対立、 戦争への道。競争で人間不信。 効率・純化・非人情の社会へ。感情によるポピュリズムからファシズムへ。

●「都市型リベラル・社民主義」へ
++ヨーロッパ型++   公共・福祉社会共助イデオロギー
++新日本型++

・自立した個人に出発点を置き、それに加えて公共性に価値を置く。公共性の重視によって経済格差の拡大や市場の暴走、環境破壊を防ごうとする立場。

・今後、「都市型リベラル」(民主党?)・「新革新=都市型革新」(田中康夫新党?)・「旧革新=農村・労組型革新→都市型革新へ」(社民党民主党)などのリベラル、革新勢力がどれだけ協力、共存できるか
☆福祉の充実(税率があがるが)。アジア諸国との協調、共存。平和主義。
☆お役所まかせの「公助」、何でも自己責任の「自助」のいずれでもなく、その間に「共助」の概念を入れた社会が新しい社民主義の流れです。わたしは、この「第三の道」を目指します(辻元清美)。

・でも、バラマキをやめるのと、弱者を放置するのとは別問題。現に社会的弱者だからこそ噴き上がる都市型ヘタレ保守は、小泉流「決然」にカタルシスを得ても、そのあと幸せになれません。そこに、都市型保守への「都市型リベラル」の対抗可能性があり、都市浮動票を取り合う二大政党制の可能性があるわけです。
 だから、示すべきは「都市型リベラル」の政党アイデンティティです。「小さな政府」が「弱者切り捨て」を伴ってはいけないと主張し、「都市型弱者」である非正規雇用者やシングルマザーや障害者の支援を徹底的に訴える。「フリーターがフリーターのままで幸せになれる社会」をアピールすればいいのです。
 「バラマキはダメだから壊す」の小泉流は明瞭です。対する民主党が「壊し方の非合理性」を訴えるのは稚拙です。郵政法案がデタラメでも、デタラメな法案を武器に使って旧経世会を葬り去ったことを、国民が賞賛しているのですからね。小泉氏を倣って「削る」「縮小」を繰返すのも稚拙です。「小泉さん、壊してくれてありがとう。壊れた後は民主党が作ります」で行くべきじゃありませんか。
 「都市型保守」のネガティビティに「都市型リベラル」のポジティビティを対置する。「不安」に「幸せ」を、「不信」に「信頼」を対置する。本当にタフでカッコイイのはどちらか。言うまでもありません。 (宮台真司