『初心忘るべからず』 * No.2979

出逢った頃に
もどれたら


あの初々しさと
ときめきと


ぼくは見ない
なにも見えていない
曇りガラスが張られていて
近づいてもちっとも見えない
遠ざかっても見えない
自身が見えない
あがいても見えない
なにもかも見えない
ぼくは見えていない
だから


あの頃
出逢った頃にはもう戻れない
それを知っていたはずなのに
今日はやけに傷が痛む


ぼくはなにも見えていない
なにもかも
いまなお


遠い遠い
過去のこと